旅ごころブログ〜公認心理士が書く心理学ブログ〜

公認心理士、臨床心理士をしている筆者が心理学の知識を伝えていくブログです。恋愛心理学、ストレス対処法など日常で使える心理学はもちろん、精神科の疾患についても解説します!

自分の家族が依存症になったらどうすれば良い?依存症家族への支援について依存症治療8年目の筆者が解説

スポンサーリンク

依存症の回復には「通院」「抗酒剤」「断酒会」がとても大切だと言われていますが、同時に「家族・周囲の協力」も欠かせないものです。

依存症は他者を巻き込む病気ですから、家族が依存症なると危機的な状況に陥ることがあります。

今日は自分の家族が依存症になった時にできることを書いていこうと思います。

 

・自分の家族が依存症になってどうすれば良いのか分からない

・依存症者の家族支援に興味がある

という方にはおすすめの記事になっています。

 

 

依存症者の家族への支援

依存症の治療をする時、例えばアルコール依存症であれば「断酒」「節酒」など、今まで依存症者が心のよりどころにしていたアルコールを制限していくことになります。

 

それは想像を絶っする苦しさです。

 

アルコールに依存していた時にはアルコールでストレスを発散し、眠れなければアルコールを飲んで眠り、楽しい時間もアルコールでさらに楽しくなり、そして孤独な時はアルコールを飲んで紛らわしていました。

 

それがなくなるとなると、自分の厄介な感情にアルコールぬきで対処していかなくてはいけません。

 

そんな時に、家族が味方になってくれれば、当事者も支援者もとても心強いのです。

 

しかし、多くの場合家族は依存症者にとても迷惑をかけられています。

借金を肩代わりしたり、暴力を受けていたこともあるかもしれません。

約束を守ってもらえなかったり、子どもに悲しい思いをさせたこともあるかもしれません。

 

「退院されたら困る」

「面倒見きれない」

 

という感情になるのは当然のことです。

 

家族が負担を感じながら、すべてを当事者のために捧げる、ということはする必要はありません。

 

しかし、もしも当事者のために何かをしてあげたい、と思ったのであれば、「依存症家族への支援」を受けると良いと思います。

 

家族だけで依存症の問題を抱えるのではなく、依存症者自身と、家族も支援も受けることで、孤立を防げるのです。

 

「自分の家族が依存症だ」という場合、以下のような場所で相談ができます。

 

・当事者がかかっている精神科の主治医へ家族も対応を相談する

・家族会に参加する

・断酒会へ参加する

・個別での家族相談を受ける

 

家族会は精神科病院で開催されていたり、NPOの団体が開催していたり、ご家族が主体となり家族会を作っておられたり、全国各地にたくさんのグループがあります。

断酒会も全国各地にあり、当事者が行く断酒会もあれば家族が行く断酒会もあります。

 

また、精神科病院や保健センターでは、依存症家族の相談を受け付けているところも多いのです。

 

お住まいの地域で開催されているのかどうかを調べて行ってみて下さい。

まずは電話相談だけでもしてみると良いと思います。

どうか家族だけで抱え込まないで下さい。

 

なぜ依存性になると家族がギクシャクするのか

依存症者が家族にいると、家庭の空気が変わります。

今までも喧嘩をしたりすることはあっても、それでもやはり家族、穏やかな時間、楽しい時間、喧嘩の時間、たくさんの色々な時間を共有していたのだと思います。

 

しかし家族が依存症になると、これらがガラリと変わります。

 

 

当事者も家族もアルコール(薬物やギャンブル)中心のコミュニケーションしか取れないようになってしまいます。

 

当事者は依存対象中心の考え方をして、依存対象のためなら家族に嘘をついたり傷つけたりもします。

 

家族は当事者が依存対象を止められているか、嘘をついていないか、が頭から離れません。

 

「普通」の家族の時間が持てなくなってしまうのです。

 

依存症者と家族の回復

依存症者の回復は家族の心の回復でもあります。

依存症によって当事者も家族も傷ついている中、長い時間をかけて依存症を克服し、家族の関係を修復していくのです。

 

とてつもない苦労ですし、客観的な意見を聞きながらではないと長くはもちません。

 

家族会や精神科と繋がりながら、その家族にとって一番良い道を探っていくことからがスタートなのかもしれません。