旅ごころブログ〜公認心理士が書く心理学ブログ〜

公認心理士、臨床心理士をしている筆者が心理学の知識を伝えていくブログです。恋愛心理学、ストレス対処法など日常で使える心理学はもちろん、精神科の疾患についても解説します!

怒りをコントロールできずに暴言・暴力で発散してしまう人の今日からできる対処法

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誰でもイライラすることはあると思いますが、イライラしているのを顔に出したり時には怒鳴る、暴力をふるう、などの行動を取る人もいます。

最近ではアンガーコントロールが資格になるほど認知されていますが、自分の怒りをコントロールできずに困っている人はとても多いのです。

 

今日は怒りを顔や態度に出してしまう人のための対処法について書いていきます。

 

怒りを抑えないと起こるデメリット

まずは怒りを抑えないことで起こるデメリットをまとめてみましょう。

 

・対人関係にヒビが入る

・物を壊すなどをする場合は金銭的な負担がかかる

・楽しい時間が台無しになる

・ストレスのため心身に負担がかかる

 

このように、怒りを抑えないとたくさんのデメリットがあります。

それが分かっていても怒りを抑える、適切に処理するというのは難しいことなのです。

 

 

怒りを抑えないことで起こるメリット

一方で、怒りを抑えないことでメリットも起こります。

短気は良くない、というようなことは常識のように私たちは知っていますが、その中でも怒りを抑えずにそのまま出すことにメリットもあります。

 

・怒りである程度相手をコントロールできるので、自分の思い通りになることがある

・怒りで起こる強いストレスは、衝動的な行動によって発散されるので、怒った直後はすごくスッキリする

・ストレスの対処としては非常に強力で手っ取り早い

 

 

いかがでしょうか。

イライラを抑えるのはとてもエネルギーが必要ですが、怒りをそのまま出すことは楽でメリットもやはりあるのです。

 

このように、まずはメリットデメリットをきちんと把握することが大切です。

 

 

怒りが爆発して怒鳴る、殴るなどの行動が起こるメカニズム

では、暴言や暴力などの衝動的な行動が起こるメカニズムについて考えていきましょう。

暴言、暴力が出る時は以下のようなメカニズムが働いています。

 

きっかけ→感情→行動

です。

 

例えば

・寝不足でイライラしていた朝、会社で新入社員が挨拶をしなかったので、なまいきに思い舌打ちをした

という場合で考えてみます。

 

このきっかけは「寝不足」「挨拶をしない新入社員」です。

感情は「イライラ」「なまいきに思う」です。

行動は「舌打ち」ですね。

 

突然怒り出したかのように見える人でも、必ずきっかけがあり、そのきっかけに伴う感情があります。

本当に何もなく突然殴る、などの行動を取る人もいないわけではありませんが、ごくごく少数です。

 

この流れを理解することが第一歩です。

 

自分が怒りで失敗した場面を思い出してみて下さい。

 

何がきっかけとなり、どんな感情がわき、その結果どんな行動を取ったのか、それらを紙に書いていくのも良い方法です。

 

・自分はどんなことにイライラしやすいのか

・どんな感情がわいた時に衝動的な行動を取ってしまうのか

などを把握するのに役立ちます。

 

 

怒りをコントロールするための具体的な方法

よくアンガーマネジメントなどで言われている「怒りは5秒間がピークでどんどん下がっていく」というのは事実です。

アンガーコントロールはこの5秒間の間に衝動行為以外の行動を取ることで、感情が収まるのを待つ、という手法をよく用います。

 

きっかけ→感情→行動

という図式を以下のように変えていくのです。

 

きっかけ→感情→対処→行動

 

一番簡単な方法は、イライラするきっかけが起こり、それに対する感情がわいた時にすぐさま深呼吸をする、という方法です。

 

そのためには自分の感情を自分で把握していく必要があります。

 

実は、自分の感情を自分で把握できてる人はすごく少なくて、特にその時その場で起こった感情については把握する前に行動に移してしまっています。

 

「すごくイライラするな」という自分の感情に気づいた時に、「深呼吸」という対処行動を取ることができれば、衝動的な行動の多くは防ぐことができるのです。

 

ちなみに、深呼吸は怒りのコントロールにはとても効果のある方法だと実証されています。

 

 

心理面接での怒りの取り扱いについて

最後に心理面接における怒りの取り扱いについて紹介しておきます。

 

これまでい書いたように、まずは怒りの感情に気づくことが大切です。

 

心理面接をしていると、他の人に本来なら向かうべき感情がカウンセラーに向かう場面が多々あります。

例)妻への怒りをカウンセラーに向ける

 

そのような時は

「あなたは今怒っているんですね」

「すごく腹が立っていて怒鳴ってしまいたくなるような感じですか」

などの声掛けを行ないます。

 

こちらから見ると明らかに怒っている人も、自分が怒っていることには気づいていないものなんです。

 

このような声掛けをすることで、自分を客観視することができ、怒りが低下し、「怒っている」ということについて話し合うことができるようになるのです。

 

 

おわりに

怒りというのは手なずけることが難しいように見えますが、そこには必ず対処法があります。

今日紹介した方法は手軽に今日からできる方法ですので、ぜひ試してみて下さい。