旅ごころブログ〜公認心理士が書く心理学ブログ〜

公認心理士、臨床心理士をしている筆者が心理学の知識を伝えていくブログです。恋愛心理学、ストレス対処法など日常で使える心理学はもちろん、精神科の疾患についても解説します!

季節感感じていますか?精神的な不調を回復させるためには季節感を感じることが大切!方法解説します!

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桜も満開になり本格的に春を感じられるようになりましたね。

皆さんは「季節感」について意識されたことはありますか??

私たちは普段の生活で、強く意識しなくても季節を感じているものだと思います。

春になれば春らしい色合いの服装に変えてみたり、夏にスイカを食べてみたり、冬にはイルミネーションを見たり、でしょうか。

しかし精神的な不調を抱えると、この「季節感」を感じるようなことをできなくなることが多いです。

苦しくて辛くて外の景色を見る余裕がない、入院をして着替えることなく過ごしている、食欲がなく季節の食べ物もおいしく感じない、などの状態になることがあります。

精神的な不調で季節感を感じられなくなる、ということは、精神的な回復には「季節感」を感じられるような生活をすることも大切になってきます。

今日はそんなお話です。

 

 

目次

・なぜ精神的な不調を抱えると季節感を感じられなくなるの??

・じゃあ季節感を感じるためにはどうしたら良いの??

・季節感を感じるために実行できること

・おわりに

・おまけ

 

「なぜ精神的な不調を抱えると季節感を感じられなくなるの??」

精神的な不調を抱えると季節感を感じられなくなる、とはいえ、どうしてそのようなことが起こるのでしょうか。

これには様々な理由があります。

例えば、気持ちが落ち込んでしまった時は自分の悩み以外のことに意識が向きにくくなります。すごく悲しいことがあった時、綺麗な花が咲いているとか、街がクリスマス仕様になってきた、などに関心がいきにくくなることありませんか??

悩みが大きすぎると「それどころではない」と感じてしまうんですね。

そうするといつもなら季節を感じる場面で、感じられなくなる、ということが起こります。

また精神的に不安定になった場合、家から出ることが億劫になったり、時には入院して静養することが必要になる時もあります。

入院中は一日中パジャマ姿でも問題ありませんし、外に出なければメイクをする機会もなくなり、「春らしいメイク」などを意識することもなくなります。

そして季節によって部屋のインテリアを変化させている人も、精神的に不調になることでそのようなことが億劫になるんですね。

これらのような理由で、精神的に不調になった時には季節感を感じられなくなるのです。

 

「じゃあ季節感を感じるためにはどうしたら良いの??」

これはまず「ある程度の余裕」を持てる状態になる必要があります。

上記に書いたように、余裕がなければ季節感などどうでも良いことのように感じられるからです。

そのため落ち込みの初期には、季節感うんぬんよりもまずは状態を底上げすることが大切です。

不調になった原因を除去できる、または除去する気力がある場合は原因を解決していくことが大切ですし、そもそもそれも無理な場合はまずは静養です。

静養は何も入院や家から出ない、という方法だけではなく、「仕事から帰ったら入浴などをすませてまずは寝る」「朝家族を送り出した後にある程度の家事をすませたら仮眠を取る」「有給を取りその日は心身を休める日にする」などの方法もあります。

そして少しだけ心の余裕ができたら次のステップです。

 

「季節感を感じるために実行できること」

ではいよいよ具体的に季節感を感じるための方法を書いていきます。

これは実際に私が講演でお伝えしていたり、施設や病院で行われている方法をピックアップしたものです。

 

・カレンダーをめくる

カレンダーには毎月可愛い絵や綺麗な写真を使っているものが多いです。心身ともに疲れている時は、月が変わってもカレンダーをめくっていない、なんてことありませんか?もしもカレンダーが先月のままだったら、めくってみましょう。新しい絵や写真が見られてそれだけで気持ちが和んだりします。

私は昔高齢者の福祉施設で1か月に1度カレンダー作りを行っていました。大きな紙に下絵を描き、みなで色付けをし、完成したカレンダーはデイルームに1か月間貼っていました。物作りが好きな方は、小さいものでも良いので自作してみても良いかもしれませんね。

 

・窓を開ける

日光を浴びることはうつ病予防・改善にとても大切ですが、窓を開けて外の空気を吸うと季節の移り変わりも感じられます。「暖かくなってきた、花粉もあるようだ、そろそろ春かな」「こんなに日差しが強い、もう夏なんだな」「朝晩は冷えてきた、冬が近いな」など、改めて気づくこともあるかもしれません。

 

・季節の食べ物を食べる

デイケアなどでも、夏にかき氷を食べたりスイカ割りをしたり、冬におもちを食べたりするなど、季節の食べ物をみなで食べ、季節感を楽しみます。

もちろん料理を作っても良いですが、それがしんどい人はスーパーの惣菜を買ったり、季節の果物を食べるのでも構いません。「たけのこのおいしい季節だな」と感じるだけでも心がほぐれるものです。

 

・色を取り入れる

その季節に合った色ってありますよね。これはイメージなので人によって異なるとは思いますが、夏はオレンジなどの明るい色、冬はブラウンなどの落ち着いた色、春は桜を連想させるピンクでしょうか。メイクやネイル、服に季節に合った色を取り入れると気持ちも上がります。

昔知り合いのネイリストさんが、高齢者施設へボランティアに行かれていて、希望された入居者の方へネイルを施していたのですが、さすがプロです、季節を感じられる色をチョイスし、とてもきれいに爪の手入れをされていました。入居者の方も喜ばれていましたよ。

 

・散歩をしてみる

散歩はうつ病の予防や改善に効果的ですが、季節を感じるのにももってこいですよね。

道に咲く草花を見たり、木の変化を見たり、風を感じたり、運動になるのはもちろんですが、季節を感じて心が和む時間になるかもしれません。

 

「おわりに」

いかがでしたか?

読んでいただいてお気づきの方もおられると思いますが、①窓を開ける、②おいしくて栄養のあるものを食べる、③保清を保つ、などは精神的な不調から回復する過程でとても大切で、このようなアドバイスは多く見られます。

ですが、落ち込んでいる方はこのようなことがとてもしんどく、億劫で、辛いんですよね。

だからこそ、「アドバイスをされたからやらないといけない」「食事を摂って運動してお風呂に入らないといけない」といった、「~しなければならない」という思考になってしまっては、せっかくのアドバイスも苦しいだけです。

治療や回復のために「しなければならない」と考えるより、季節を感じるという人間としての楽しみのためにやってみてはいかがでしょうか。

そうすることで少し行動が楽になることもあるかもしれません。

 

「おまけ」

筆者が一番季節を感じる瞬間は・・・

ずばりくしゃみ・鼻づまり・目の痒みが出てきた時です。

そうです、花粉症です(笑)これが出ると「春だな・・・」と感じるのでした。

 

少しでも試せそうなことがあればぜひお試し下さい。