旅ごころブログ〜公認心理士が書く心理学ブログ〜

公認心理士、臨床心理士をしている筆者が心理学の知識を伝えていくブログです。恋愛心理学、ストレス対処法など日常で使える心理学はもちろん、精神科の疾患についても解説します!

増えていくアルコール依存症 アルコールを飲むメリット・デメリットを考えて断酒を目指そう

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アルコール依存症は命を奪うこともある恐ろしい病気です。

アルコールのことしか考えられなくなり、アルコール以外のことに価値を見いだせなくなります。

 

アルコール依存症の治療の基本は「断酒」です。

最近は節酒などの選択肢も増えていますが、それでも断酒を推奨していますし、節酒は断酒よりも難しいと言われています。

節酒に関しては以下の記事に詳しく書いています。

 

www.ntan.work

 

断酒をする上で様々な方法が提唱されています。

その一つが抗酒剤です。

抗酒剤は服用することでアルコールをまったく受け付けない身体に変わります。

抗酒剤を服用した後にアルコールを飲むと、息苦しさや吐き気が強く出て、急性アルコール中毒の状態になります。

「抗酒剤を服用しているからアルコールは飲めない」と思うことで、断酒の継続を手助けする効果があります。

抗酒剤については以下の記事をご参照ください。

 

www.ntan.work

 

さて、今日はアルコールを飲むメリット・デメリットを考えていきます。

依存症の治療では、このメリット・デメリットを考えることは治療効果をあげる大切なことです。

 

 

アルコールを飲むメリット・デメリット

アルコールを飲むメリット

アルコールを飲まれる方はメリットに関しては何となく感じている方が多いと思います。

メリットがなければ飲みませんからね。

多い意見は以下のようなことでしょうか。

 

・美味しい

・ストレス発散になる

・アルコールを飲むと人と話せるようになる

・飲み会の場が楽しい

・酔った時の高揚感が好き

など、他にもたくさん考えられると思います。

 

 

依存症の治療では、このメリットをもっと深めていきます。

例えば・・・

 

・寂しい時にアルコールを飲むと寂しさがまぎれる

・眠れない時に寝酒をするとよく眠れる

・仕事や家庭のストレスをアルコールで発散していた

・何もやることがないので時間をつぶすために飲んでいた

などがよく聞かれる意見です。

 

アルコールを飲むメリットは、人により異なります。

まずは自分はなぜアルコールを飲んでいたのか、どんなメリットがあったのかを把握することが大切です。

紙に書き出してみると分かりやすいので、紙に書いて家族や支援と共有できれば良いと思います。

 

そしてその上で、「アルコールを飲むことで得られていたメリットを、アルコール以外で得るためにはどうすれば良いか」を考えていきます。

例えば、アルコールを飲んでストレスを発散していた人は、アルコール以外のストレス対処法を見つけていく必要があります。

寂しくて飲んでいた人は、アルコール以外で寂しさを紛らわす方法を考えます。

 

そのため、アルコール依存症の治療は、アルコールを飲まずにどう楽しく、健康に、人と関わりながら生きていくか、を考えていくことなのです。

アルコール依存症の人が、アルコールなしで人生を楽しむことはとても大変なことです。

困難ではありますが、不可能ではありません。

そのことを書いた記事は以下を読んでみて下さい。

 

www.ntan.work

 

自分のアルコールを飲む理由、メリットを把握し、そのメリットをアルコール以外で得られる方法を考え、日々実行できれば、治療の一歩を踏み出したと言えます。

 

 

アルコールを飲むデメリット

次にアルコールを飲むデメリットです。

アルコール依存症の人はこのデメリットがなかなか思い浮かびません。

しかし実際にデメリットはたくさんあります。

 

・身体に悪い

・お金がかかる

・病院に行かなければならない

・大きな病気にかかる可能性が上がる

・対人関係のトラブルに繋がりやすい

・判断能力が低下する

・車を運転できないなど、行動に制限がかかる

・家族や周囲が悲しい思いをする

・睡眠の質が低下する

 

などが考えられますね。

 

最初はデメリットはなかなか思い浮かびませんが、依存症になるまで飲み続けていた人は、そのまま飲み続けると間違いなく命を落とします。

それでなくても病気の危険は高まりますし、寿命は短くなります。

経済的にも苦しくなったり、対人関係に支障が出る場合もあります。

デメリットはたくさんあるはずなので、自分にとってのデメリットを紙に書き出してみると良いと思います。

ある患者様は、携帯のメモにアルコールを飲むデメリットを入力しておき、アルコールを飲みたくなったら、見るようにしている、とのことでした。

このようにアルコールを飲むデメリットを明確にしておくことは、自分自身のストッパーにもなるのです。

 

 

アルコール依存症とストレス

 アルコール依存症の治療をする上で、ストレス対処を確立することは大切なことです。

ストレスがたまると、アルコールを飲んですっきりしたくなりますし、生活が忙しすぎると、週末に自分へのご褒美にアルコールを飲みたくなります。

高ストレス=再飲酒

と考えても良いくらい関係の深いものです。

アルコール以外のストレス対処法を考え、実践していくことで、「アルコールがなくてもストレスを発散できている、なくても大丈夫なんだ」という自信をつけていくわけです。

 

ストレス対処法に関しては、以下の記事をご参照ください。

www.ntan.work

 

 

 

おわりに

今日はアルコールを飲むことのメリット・デメリットについて解説していきました。

アルコールなしで健康的な人生を送るためには、アルコールがもたらす効果についても注目をしなければなりません。

アルコール依存症の治療をしている方は、ぜひ一度メリット・デメリットという視点で考えてみて下さいね。