旅ごころブログ〜公認心理士が書く心理学ブログ〜

公認心理士、臨床心理士をしている筆者が心理学の知識を伝えていくブログです。恋愛心理学、ストレス対処法など日常で使える心理学はもちろん、精神科の疾患についても解説します!

HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン) 敏感で繊細な特徴を持つ人たちが少しでも生きやすくなるための工夫点

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HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)という言葉を聞いたことはありますか?

「とっても繊細でとっても敏感な人」のことで、Elaine Aron博士によって提唱されました。

これは病名ではなく「気質」なので、治療をする対象ではなく、産まれ持った特徴となります。

しかしそれゆえ生きていく上でものすごく疲れを感じますし、傷つきもします。

今日はHSPについての紹介と、工夫点を書いていきます。

 

 

 

HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)の特徴

HSPの人は周囲の状況にとても敏感で、感覚も強く感じる傾向にあります。

以下の4つが特徴として挙げられています。

 

・考え方が複雑で深く考えてから行動する

人間の心や生き方、人生など、深い分野を考えることに興味があることが多く、ミーハー的に知識を得るよりも、深く掘り下げる傾向があります。

行動よりも思考の人、という感じでしょうか。

思い立ったらすぐ行動する人とは正反対で、行動までに熟慮し時間がかかります。

 

・刺激に敏感で疲れやすい

大きな音、強い匂い、人ごみなどは苦手でとても疲れてしまいます。

感覚的な刺激にも敏感なので、映画や本などを見ると感情移入しやすい傾向があります。

小さなことにも驚くほど動揺するのも特徴です。

 

・人の気持ちに振り回されやすく、共感しやすい

人が怒られているのを見ると自分もびくびくしたり、他者の些細なしぐさが気になり、そこから感情を読み取ることができます。

 

・あらゆる感覚が鋭い

小さな音でも気になったり、肌触りの悪い洋服などは着られない、など「嗅覚」「聴覚」「味覚」「触覚」「皮膚感覚」などすべての感覚が鋭い傾向があります。

 

 

HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)の人の生きにくさ

このような特徴を持つ繊細で敏感なHSPの人たちはどのような生きにくさを抱えているのでしょうか。

 

HSPの人は、私たちが普段何も気にしていない、あるいは、気にはなるけどそれほどまで気にしていない小さなことに敏感に反応します。

 

例えば、サイレンの音、悲しいニュース、小さな揺れ、少しの痛み、朝の人ごみ、などです。

私たちにとってもこれらは不快なものとして働きますが、HSPの人はその何倍も強い刺激として体験します。

 

また、人の感情にも敏感で、他者が怒られていたりすると自分まで苦しい気持ちになったり、泣いている人を見ると感情移入をものすごくしたりします。

 

結果どういうことが起こるかというと・・・

 

ものすごく疲れます

 

一人で落ち着いた空間に帰ってくるともう満身創痍、へとへとになっていることがほとんどです。

 

何か特別に忙しいことがあったわけではなくても疲れてしまう、映画を見るなど普通の娯楽でも、見終わった後は疲れてしまうわけです。

 

また、仕事中にも音や臭い、気温や人の感情が気になり集中できない、なども困り事としては多いのではないかな、という印象です。

 

 

HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)の人ができる工夫

このような特徴がある方に対して、カウンセリングでは少しでも生きやすくなるための工夫を一緒に考えることがお手伝いできることかと思います。

 

以下のような工夫点は実践することで少し楽になるかも、というポイントです。

 

・刺激を少なくする

家の中はできる部分は刺激を抑えてみて下さい。

 

カーテンは遮光カーテンにする、寝る場所と冷蔵庫の場所を遠くにする(夜に音が気になるため)、部屋のライトを明るさ調整できるものに変える、などは実施しやすいかと思います。

 

視覚的にすっきりするために、寝室にはあまり物を置かない、色を統一する、寝具を自分の好きな肌触りのものに変える、なども工夫できる点ですね。

 

可能であれば耳栓をしたり、パーテーションをするのも考えても良いと思いますし、しんどいニュースはテレビを消して見ない、というのも一つです。

 

・自分の感覚が喜ぶものを知る

感覚が敏感なだけあって、好きな匂い、好きな味、好きな音などには人一倍ダイレクトに感じることができます。

 

疲れた時、集中できない時、好きな肌触りのハンカチを触ったり、好きな味の飲み物を飲んだり、切り替えができるものを持っておくと安心です。

 

・人間関係を見直す

疲れてしまうから人間関係を切る、としてしまうと孤立してしまいます。

だけど、あなたがどうしてもしんどいと思う人とは距離を取るのも一つです。

いつも怒っていたり、あまりに刺激が多い人とは距離を取った付き合いをしてみても良いかもしれません。

 

・携帯電話は上手く使う

どうしても心が回復しない時は携帯電話を寝ている間だけでも電源を落とす、マナーにするなども良い手段だと思います。

小さな音や振動、光でも目が覚めますし、人との繋がりが夜中まで続くことで疲れ切ってしまうからです。

 

 

このように、刺激をなるべく少なくして心から休まる時間を確保する、というのがポイントになります。

 

 

そして自分を責めないことも大切です。

体質的なことなのに、「根性がないね」「体力がないね」と言われたことも多いと思います。

でも、これだけ感覚が敏感であれば疲れたり集中できなくなるのは当然です。

 

HSPの人は、感受性が豊かで物事を深く追求でき、細かい部分にも気づくことができる、という特徴も持っています。

 

生活や仕事にご自身の特徴を生かしつつ、しんどい部分は工夫ができれば良いですよね。